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最高裁判所第二小法廷 昭和42年(オ)1386号 判決 1968年7月19日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人山本粂吉、同上原悟の上告理由第一点について。

所論の各点に関する原審の事実認定は、いずれも原判決(その引用する第一審判決を含む。以下同じ)の挙示する証拠関係によつて是認するに足り、その判断の過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審の適法にした証拠の取捨、判断および事実の認定を非難するにすぎず、すべて採るをえない。

同第二点(一)について。

原審が本件土地(原判決の引用する第一審判決添付目録第一の(一)および(二))の売買契約に関し確定した諸般の具体的事情のもとにおいては、被上告人がその妻訴外ときをと相談のうえ、訴外賢造の工場建築資金を被上告人所有の土地を売却して捻出すべく企図していたとしても、被上告人所有の不動産を売却するような行為は、いわゆる日常の家計上の行為に該当するものでない旨の原審の判断は正当である。論旨は、これと異なる法律的見解に立つて原審の判断を非難するもので、採るをえない。

同第二点(二)について。

原判決の確定した事実関係のもとにおいては、上告人が前記土地の売買契約に関して被上告人の妻ときをに被上告人を代理する権限があると信じたとしても、上告人にはこれを信ずべき正当な理由があつたものということはできない旨の原審の判断は正当であり、所論引用の判例は事案を異にし、本件に適切でない。原判決に所論の違法はなく、論旨は、原審の認定にそわない事実を主張し、または独自の見解に立つて原審の判断を非難するもので、採るをえない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 奥野健一 裁判官 草鹿浅之介 裁判官 城戸芳彦 裁判官 石田和外 裁判官 色川幸太郎)

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